発色の良いEOS旧デジは、色の悪い現行モデルに比べてどれくらい発色が良いのだろうか。発色が悪くなった主な原因はダイナミックレンジの低下によるものだ。このダイナミックレンジ低下の原因は大きく二つあって、一つ目は画素ピッチが小さくなって低下する、または同じ画素ピッチでもセンサーそのものの性能が悪く低下する場合、二つ目はオンチップNRの弊害によるものだ。
画質の評価基準は、解像度・発色・階調性などで、このどれもがダイナミックレンジに関わっている。解像度は黒インクのチャート撮影結果を鵜呑みにしてはだめだ。少なくともカラー写真の画像には明るいところから暗いところまでいろいろな色がある。ハイライトからシャドーまでバランス良く色を出すためにはRGBすべてのチャンネルに色相を区別するためにRGB各チャンネルにコントロールできるだけの情報がなければならない。
今回のテストは、コダックのカラーチャートを+4〜-5EVで撮影し、明暗に於ける彩度分布を測定し、発色(色乗り)と色が区別できる明暗の限界点(つまりダイナミックレンジ)を調べようというものだ。
ソフト別一覧表とそのグラフをご覧いただきたい。一覧表内の赤字はそのチャンネルの飽和だ。ハイライト域の飽和はそれ以上の明度(輝度)域では数値変化しないので、そのチャンネルと他のチャンネルで構成する色相変化に関与出来ない状態を示す。要するにサチってる状態だ。レッドはRチャンネル、グリーンはGチャンネル、ブルーはBチャンネルだ。またシアン・マゼンタ・イエローはそれぞれRGBの補色であるため飽和の定義が難しく画質との相関が立証しにくいので言及しない。彩度が0または数値変化が無くなったポイントがハイライト側ダイナミックレンジの限界点だと言えよう。
一方シャドー側についてはノイズを何処まで許容するかで決まるので、現像ソフトのアルゴリズムが優れているか否かで大きく変わってくる。なのでシャドー側のレンジ判定については次回ということでもう少し時間をいただきたい。
個人的には、シャドー側はレンジの数値よりもどれだけ豊かか(高いか)が高画質の条件ではと思っている。というのは、彩度は下げる方がコントロールしやすいからだ。低いのを上げると、ハイライト側では飽和が早くなりシャドー側は色ノイズが目立ってくる。
とりあえずそういう視点で下図をご覧いただきたい。
テストしたソフトは次の通り
●Capture One 4.1.1 ●DPP
v.2.0 ●DPP v.3.7.2
◆テスト条件
各ソフトとも色温度はカラーチャート右真ん中のBlackのグレーをスポイド補正、グレーバランスはこのポイントがRGB同数値になる様に各ソフトのスポイド測定後、明度(露出)を微調整(+-0.1EV以内)。Blackのグレーを選ぶ理由はここのみ単色のインクではなく、CMYKのブラックインクの網点になっているので彩度0だと推定できるからである。ここを彩度0に設定した場合他は彩度が0にならず機種毎で色相が異なるからだ。いずれにしても同一箇所を同数値にすることに変わりはない。
NR設定に関しては、Capture
One
は1Ds・5Dともソフト側のデフォルトで同数値、0ではない。DPPは、v2.0は設定そのものがない、v3.7.2は輝度・色とも0。
発色設定は、Capture One
はそれぞれのプロファイルは自動適用されるが、タイプはFilm
Standard、DPPは忠実設定。ほか彩度・コントラストなどもろもろの設定はすべてデフォルトの0、トーンカーブも触らず。ただ色相に関してはニュートラルグレーを得るために各ソフト0ではない。Capture
One
はスポイド検出により色相の数値が変化する。DPPはスポイド検出により色相が変化しても表示数値は変化しない。
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