RAW現像ソフト対決
1Dsにベストマッチはどれだ!

5D・20Dからわざわざ旧モデルの初代1Ds・D60へ買い替え、その余りに違う豊かな発色に満足度が高かったため、しばらく純正のRAW現像ソフトDPPを使っていたのだが、DPPに100%満足という訳ではなく、色を追い込めば追い込むほどに、あと一歩なんとかならないか、という部分にも気付いてきた。

そこで 新たなRAW現像ソフトで更に画質向上をという訳である。
最近は各ソフトメーカーとも機能制限なしの試用版が用意されているので、買ったはいいが、だめだこりゃ、というのは回避できる。
早速定評のあるソフト4種の試用版とDPPの5種をテストしてみた。

テストしたソフトは次の通り

●DPP v.3.7.2 ●Capture One 4.1.1
●SILKYPIX Developer Studio 3.0 ●DxO Optics Pro 5.3.5
●Adobe Lightroom 2.5

◆テスト条件
各ソフトとも同じ色温度、いわゆるピクスタみたいな設定はデフォルト(DPPはニュートラル)で、NRは画質劣化が起きない程度、シャープネスは白フチが目立たない程度に出来るだけ強い目、色相・彩度・露出補正などは0、色収差除去やHDRの類はOFF、トーンカーブは使用あまり追い込まず。
16bit tiffで出力後photoshopへ渡し、各画像の明るさ・色相・彩度・シャープネス等ぱっと見が同じくらいになる様に微調整。あくまで微調整で各ソフトのベストが出る様にした。作業色空間はAdobeRGBで行い最後にweb掲載用にsRGBに変換している。

掲載画像はすべて画面クリックでピクセル等倍(等倍のものは200%)画像が別ウィンドでご覧いただける。

 

シーン1
EOS-1Ds + Sigma 28-70mm F2.8 EX DG @28mm ISO/50 F11 1/80sec.

まず最初は日中(夕方)の低感度撮影である。日向と日影の輝度差が大きく色分離性・飽和耐性・解像度、また全体的なヌケや透明感などをチェックしたい。

DPP

Capture One

SILKYPIX

DxO

Lightroom

陽の当たっている部分と日影の明度・彩度・色相の変化、落差やメリハリを観察して頂きたい。下の部分画像が判りやすいが、黄色とオレンジ、赤などそれぞれの差がはっきりしているか、などがポイントだ。

部分画像/1-1

次の部分画像では色の分離性と解像度に注目して頂きたい。緑と茶、それと水面の色の差。それぞれ全体的(この部分画像での)な色味が異なる事で評価を左右しかねないが、他の部分との兼ね合いがあるので多少の誤差はあると思うが、この状態が全体的なベストバランスの状態である。例えばDPPの濁った感じは、BチャンネルでYを抜きRチャンネルでCをプラスしたいところだが、そうすると空の色に影響する。また緑はどんどん青くなる。SIKKYPIXとDxOはCを抜きたいところだが、そうすると緑は茶色になり水面はますます紫になる。

解像度に付いてはピクセル等倍の全体画像で画面左下、対岸の土手などをご覧頂けば差がはっきり判る。CaptureOne とDxOは、輝度レベルでは拮抗しているが色分離性能の違いでCaptureOneが勝っている。

部分画像/1-2

シーン2
EOS-1Ds + Sigma 28-70mm F2.8 EX DG @70mm ISO/100 F8 2.5sec.

次に夕景色、暗部の色再現やNRの性能が写真としてのリアリティに直結する。

DPP

Capture One

SILKYPIX

DxO

Lightroom

部分画像/2

最も色が出ているのは Capture One である。色が出ているのはデフォルトの彩度が高い訳ではない。例えばオレンジの街灯に照らされている建物や空の赤みを見れば判ると思う。Lightroomは輝度の高い空の彩度が高い割には暗部での彩度は低い。これは彩度操作では改善しないという事を意味する。
Capture One 以外ではSILKYPIXが色のバランスはいいが、いかんせん解像度がかなり低い。もともと解像度が低い上に色ノイズ除去を少し上げるとこの様な状態になる。

シーン3
EOS-1Ds + Sigma 28-70mm F2.8 EX DG @32mm ISO/320 F6.3 1/50sec.

最後に雪景色、昼間だが薄暗くISO感度を上げての撮影だ。初代1Dsは低感度タイプならではの発色の良さがある。それ故にノイズは多いのだが、反面そのノイズは階調表現や物体のディティール再現に貢献している。
このシーンでは絵全体としてのクリアさと同時にに木や地面石畳の質感や色差にも注目してほしい。

DPP

Capture One

SILKYPIX

DxO

Lightroom

DPP NR OFF + Noise ninja

部分画像/3

下の部分画像では、DPPのNRオフ+ Nise ninja でNR処理したものも加えた。
以前から指摘しているがDPPのNRはダメダメである。輝度ノイズ除去2、色ノイズ除去3を適用しているが色ノイズはかなり残っているしディティールの消失は激しいし、もうぐだぐだである。
このシーンではNRの性能がひとつの要である。Capture OneのNRはかなり優秀だ。特に色ノイズ除去はかなり適用量を上げても色を失いにくい。ただ輝度ノイズ除去はなかなザラつきがとれにくい。ただこれは評価が分かれるところで、ディティールを失いにくい、という点では良いのかもしれない。

DPPと同様にSILKYPIXもNR処理がかなりだめで、詳細なディティール再現は全く無理。Dxoはまずまずだが、Lightroomはシャドー部の彩度低下がマイナス評価である。

ここで私なりの採点をしておく。各5段階評価だ。

DPP

Capture One

SILKYPIX

DxO

Lightroom

ラチチュード

4

5

5

4

4

色分離性(明〜中間)

3

5

5

4

4

色分離性(暗)

3

5

4

4

3

解像度

4(NRon時1)

5

1

4

3

ノイズ除去(色)

1

5

2

4

3

ノイズ除去(輝度)

1

4

3

4

3

●処理速度等について
ここに掲載した画像ではないが、日中の風景写真、1枚処理の現像時間を記しておく。マシンを買い替えたのだが、過去のソフト資産など諸事情でどうしても最新のPCという訳にいかず、、MAC G5、、 でのタイムだ。

Power Mac G5 2.7Ghz Dual メモリ2.5GB
(多分Intel Core 2 Duo T5600 1.8 GHz 搭載のMac miniと同じ位だと思われる)
16bit Tiff 出力 1枚 現像ボタン押してから処理表示が消えるまで(約・秒)

DPP

Capture One

SILKYPIX

DxO

Lightroom

15

15

17

35

10

各ソフトの絵づくりの差は、お判り頂けただろうか。個人的に Capture One の絵は他とかなり違うし、スカっと抜けた感じがする。今回は比較のためにあまり追い込んではいないが、追い込めばかなりの実力である事は確かだ。濁りがなく1Dsの透明感が更に増した様だ。
一応いろんななシーンを現像してみた印象では、今まで使っていたDPPと比較すると、5D→1Ds 位の違いがある。基本的によりリニアで、粒状性を残す絵づくりの方向性が、階調性の良さや高い解像感に寄与しているようだ。

SILKYPIX は色再現がシャドーまで衰えずヌケのいい絵を出す。それだけにNRの弱さと解像度の低さがもったいない。操作感はCapture Oneより少し重め。

Dxo は全てにおいてまずまずの結果、直感的に気持ちの良い絵を簡単に作る事が出来る。ただ操作はかなり重く現像時間も他に比べ極端に長い。もちろん私のPCの様に何世代も前のモデルでなければ問題ないのだろうが。

Lightroom は昼間の写真はいいが夕景・夜景など暗いシーンでのアンバランスな彩度の低下が気になる。そこそこのNR性能を持っているので、いやはやこのソフトも勿体ない。操作はサクサクなんだが。。

以上久々のレポート、いかがだったでしょうか。このRAW現像ソフト対決は、あくまで低感度型カメラである初代1Dsの画像を使ったもので、現在の高感度型カメラでは全く異なった結果になると思いますので、その辺りはお含みおきください。

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