SIGMA APO 70-200 vs Nikon AF-S VR 70-200

Nikon AFS VR 70-200EDとSIGMA APO 70-200 HSMのテストである。SIGMAは私が所有するもの、NIKONは悪友のS2ユーザーが買ったばかりのものを「テストするからちょっと貸せ」と拝借したものである。比較のためSIGMA APO 70-300も一部使用した。始めにお断りしておくが、SOGMAの2本は、後ピンの症状があったため一度メーカーに送り、光軸及びピント位置の調整を行ったものである。しかしこの後ピンの症状は完全には直ってなく、中〜遠距離の撮影は若干後ピンになるため、再度調整を依頼するつもりだ。普段はAF合焦後マニュアルで少し手前へずらすという方法で使用している。一方Nikon 70-200 VR は買ったばかりという事もあり初期不良があるかもしれないので、この辺を考慮して画像をご覧いただきたい。

ピント位置と解像度の比較のために上の2種類のチャートを作った。数字の単位はcmで上が1cmずつの近距離用、下が2cmずつの中・遠距離用だ。これを上から見て斜め45度に配置しピント位置を確認しようというもの。尚、数字は45度にした撮影時に1または2cmになる様にその幅を1.41倍にしてある。PCで作成したものをインクジェットプリンタで印刷し、下の画像の様にレフに貼り付け斜め45度に設置。
撮影条件はストロボ1灯、AFが迷わない様に蛍光燈の照明。カメラ側の設定はカラー/ORG、トーン/STD、シャープネス/STD、WBはストロボ光でのカスタム設定、12MPモードである。Nikon はVR OFF。
今回は時間の関係でF2.8時のみのテストとさせていただく。尚、撮影画像は1カットずつMFで一旦ピントをはずし、AFで合焦。これを各8カットずつ撮影し、平均的に一つの傾向を示すものを掲載した。要するにほとんどがこうなる、というものである。また画像は編集で組合せただけでレタッチは一切していない。

撮影距離2m/F2.8

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F2.8、撮影距離2m。SIGMAは完全に前ピンな上に全体的に甘い印象だ。Nikon はドンピシャのピント位置で非常にシャープな写りである。

撮影距離4m/F2.8

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F2.8、撮影距離4m。双方ほぼ同じような印象だ。ピントの山では若干SIGMAの方が像の流れが少ない様に見える。

撮影距離6m/F2.8(70-300はF4.8)

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F2.8、撮影距離6m。双方とも後ピン傾向でピントの山は奥4cm辺りか。SIGMAはそれなりにバランスしているが、Nikon は※印の一番シャープな部分に色ズレが発生しているのが気になる。SIGMA 70-300 はこの焦点距離ではF4.8となるが、意外に検討している。

撮影距離6m/F2.8(70-300はF4.8)物撮り

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SIGMA70-200はNikonに比べコントラストが高く、くっきりした印象だ。しかし解像力は限界の様にも見える。一方Nikon は文字部分を見るとSIGMAより解像している様だが白っぽくにじんでいる。どうもNikonの特性は少し色収差が発生しだす部分が最も解像度が高くなる様に感じる。またもう1本のSIGMA70-300だがご覧の様に随分検討している。もちろん開放F値が暗く超音波モーターも付いていないが、売価が2 万円少々(購入当時)という事を考慮するとコストパフォーマンスは抜群だ(最近あまり出番がありませんがW)。

以上いかがだろう。今回は時間の制約があったため画像の周辺減光やボケ味またVRの効果など総合的な使用感、絵創りについてはテスト出来なかったが、この辺は追って後日テストして結果をお伝えしたい。どうもNikonは光軸がずれている様な気がするので、追加のテストは修理後になるかもしれないが―。
短時間での印象ではあるがNikon はSIGMAに比べ細長く重い。また個人的に期待していた画像ではなかった。しかしAF合焦速度はSIGMAより格段に速く、スコン、スコン、といった感じで気持ちがいい。SIGMAは、極端に表すとスーコン、スーコン、という感じでもう少し速く合焦してほしい。
また6m時の後ピン傾向だが、この辺は両社とも何とかしてほしいものだ。以前に使用していたNikon 70-300D、70-300ED、またカメラマンの先輩から借りたAF-S 80-200EDや単焦点のAF35mmなどは、たまたまなのか、どれもS2でドンピシャのピント精度であった。そういう意味ではピント精度に関するNikonへの信頼はこのテストで無くなってしまったと言える。

開放F値が2.8のズームでデジタルカメラで使用した場合、よく開放では甘いという話を耳にするが、これはどうもメーカーの検品態勢の問題ではないかと思う。事実現在所有しているSIGMA APO 70-200は、購入当初開放F2.8では大体がボケボケで白っぽい画像しか撮れなかったのが、メーカーに修理に出して帰ってきたものはほとんど別物。しかしまだピント位置がずれており、近距離のポートレートなどは目を狙っても鼻にピントがくるなど、仕事では開放で使い物にならない。
どうも最近の傾向として、検品の手抜きでコストダウン・利益確保を図っているような気がしてならない。一旦販売して客から文句を言われた時点で対処する。これでは客に検品を押しつけているのと同じことだ。

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